”いのち”をつなぐ。

大切な人が落ち込んでいる時、あなたはどうしますか？

県内の令和3年の自殺者数は286人。そして令和4年はさらに増え319人で、自ら命を絶たれる方が増加しているという深刻な状況にあります（警察庁「自殺統計」確定値）。

人は誰しも落ち込むことがあります。
もし大切な人が落ち込んでいたらとても心配になりますよね？そんな「いつもと違う様子」に気づいたら、勇気を持って声をかけてみませんか？
大切な人に寄り添い、心の声に耳を傾けることができる人・・・あなたも誰かの「ゲートキーパー」です。

令和4年の自殺者数（全国・熊本）

熊本県の自殺者数は増加傾向にあり、令和4年は前年から33人増え、過去5年間で最多の319人（警察庁「自殺統計」確定値）となりました。
令和4年の熊本県の自殺者数を男女別にみると、男女比は概ね7対3となっており、特に男性の40代から60代の自殺者数が全体の4割を占めています。こうした傾向は全国でも同様の傾向が見られます。

ゲートキーパーについて動画で学びましょう。

大切な人が悩んでいたら、「TALKの原則」で話を聴いてあげましょう。

大切な命を守ること。具体的なお話をシリーズで紹介します。

①「生きるのがつらいに寄り添う〜」

死んでしまいたい。悲しい、誰かに話を聞いてもらいたい・・・。深い悩みを抱えながらも相談できる相手がなく孤独に陥ってしまった人たちの相談に応じている団体があります。社会福祉法人「熊本いのちの電話」です。電話をかけてきた人の沈んだ気持ちが少しでもいい方向へ向かうことを願い、毎日24時間活動を続けています。
 
「相手の言葉に耳を傾ける。これが一番大事なことです。」相談員として10年以上の経験がある女性はそう話します。先入観を持たずに相談者の言葉を白に塗っていく。そしてその絵を見ながら「今、そういうあなたがいるんですね」と理解し受け止める、そんなイメージで日々、相談者と向き合うと言います。
 
電話での相談内容はさまざま。仕事上の悩み、家庭の事、人間関係など「誰かと話したい」というものから深刻な悩みまで、自殺をほのめかすような危険な状態の相談者も少なくありません。中には数時間も話をする人もいるそうですが、「1本の電話で悩みを解決できるなんて考えていません。アドバイスするのではなくお話している間、心を安らかにして頂きたいという想いで電話を受けています。」相談者の心が少しでも明るくなった時、「命の時間を繋ぐことができた」と感じるといいます。
「熊本いのちの電話」の相談員は110名、実際に活動できる人は90名弱です。24時間体制で活動を続けるためには相談員の数が不足しているといい、電話がつながりにくい状況が続いているそうです。
 
相談員になるには2年間の研修受講が必要ですが、特別な能力が求められるわけではありません。「相談者の人と同じ土俵に立つ、良き隣人。それが私たちです。」と相談員の女性。「悩みに耳を傾けることで自分自身が成長できたと感じている相談員も多い」と話してくれました。

■その他のお話はこちらから
①「生きるのがつらいに寄り添う」
②「人のため、自分のため、相談に向き合う」
③「依存症で苦しむ人と、家族に寄り添う」
④「借金なんかで命を捨てないで」